みなさんこんにちは。サイジです。毎日読書をしています。
こちらの要望を解決していきます。
本書を読むことで以下のことが得られます。
・本書にある体験版RSTを通して、現在の自分の読解力がわかる
・子どもの読解力を養う具体的な方法がわかる
・現在の学校教育に頼っていると、読解力を十分に伸ばせない現実に気付ける
上記より、以下の方に読むことをオススメします。
・子どもの教育に悩む親御さん
・小中高校の先生
・上記以外で教育関係の仕事をされている方
『AIに負けない子どもを育てる』は前著で30万部を突破した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』に対してのアンサー本です。
本書は読解力の現状とそれ鍛えるための具体的な方法が収められています。
今回はそんな『AIに負けない子どもを育てる』の要約・まとめをご紹介していきます。
それではいきましょう。
『AIに負けない子どもを育てる』の基本情報

『AIに負けない子どもを育てる』の基本情報をご紹介します。
書名:AIに負けない子どもを育てる
出版月:2019年9月19日
出版社:東洋経済新報社
定価:1600円+税
著者の新井紀子さんのプロフィールはこちらです。
国立学情報研究所教授、同社会共有知研究センター長。
一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長。
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学卒業、イリノイ大学大学院数学科課程修了。
博士(理学)。専門は数理論理学。
2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。
2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテキスト」の研究開発を主導。『AIに負けない子どもを育てる』カバー表紙より
主著に『数学は言葉』(東京図書)、『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社)、『ロボットは東大に入れるか』(新曜社)などがある。特に、2018年に出版した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)では、大川出版社賞、石橋湛山賞、山本七平賞、日本エッセイスト・クラブ賞、ビジネス書大賞等を受賞した。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読まなくても本書の理解はできます。
でも読んでおくと、より頭に内容が入りやすいですよ。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の要約も記事にまとめていますので、こちらもご覧ください。

本書は全10章で構成されています。
第1章 AIの限界と「教科書が読めない子どもたち」
第2章 「読める」とはなんだろう
第3章 リーディングスキルテスト、体験!
第4章 リーディングスキルテストの構成
第5章 タイプ別分析
第6章 リーディングスキルテストでわかること
第7章 リーディングスキルは上げられるのか
第8章 読解力を培う授業を提案する
第9章 意味がわかって読む子どもを育てるために
第10章 大人の読解力は上がらないのか?
第3~5章は実際に自分の読解力を測定できるので、ドキドキしながらテストを受けるような気持になります。
タイプ別分析では驚くほど自分のことを言い当てられてしまいました。
能動的に読むことができるのであっという間に読み進めることができます。
『AIに負けない子どもを育てる』の要約・まとめ

『AIに負けない子どもを育てる』の要約をご紹介します。
要約①:AIに負けない子どもを育てるには読解力を伸ばすことが重要
要約②:子どもの読解力を上げるには、読解の基本を学校の国語の時間に教える
要約③:読解力の培い方は幼児期~小学校高学年まで時期ごとに方法がある
ひとつずつ解説していきます。
要約①:AIに負けない子どもを育てるには読解力を伸ばすことが重要
現状、あるいは近未来のAIは、AIに都合の良いデータが膨大に集まったときにのみ、その能力を発揮し、それ以外の「細かいこと」ではあまり役に立たないということを示唆しています。
『AIに負けない子どもを育てる』p18より
AIの弱点は、意味を理解できないことです。
つまり意味を理解できる力(=読解力)を身につけていればAIに仕事を奪われることはなく、勝つことができるんです。
ただ、現在の学校教育はAIに代替される力しか育てることができていません。
意味を理解して読むことができない子どもたちが一定数存在しています。
要約②:子どもの読解力を上げるには、読解の基本を学校の国語の時間に教える
新しい指導要領では、(中略)事実について書かれた文章を正確に読んだり書いたりすることに重きが置かれるようになり、バランスの取れた国語になっていくことと思います。
『AIに負けない子どもを育てる』p46より
著者が主導するリーディングスキルテスト(=RST)の実施結果から、現座の学校に読解力を培う教科や授業が不足しているのではないかと著者は確信しています。
行間の理解や文学作品への感動を優先して、文章を読み解く基本的な方法を学ぶ機会が不足しています。
これを解決するには、幼児期から小学校高学年までの各時期ごとに読解力の基礎を磨いておくことが重要です。
要約③:読解力の培い方は幼児期~小学校高学年まで時期ごとに方法がある
複数の自治体からのヒアリングや教室での子どもたちの観察などを通じて、著者が論理的に導き出した読解力を鍛える方法があります。
幼児期:言葉に触れる機会を多くする。日常生活での行動や常識を経験させ、関心できることに集中できる時間を取る。同世代の子どもたちと接する時間を取る。
小学校低学年:生活習慣を整える。見たことを言葉で表現させ、文の基本構造と語彙を増やす。
小学校中学年:活字の読み書きの量を増やす。第三者に伝わる表現を工夫させる。相対・抽象概念から論理で考え抜く力を学ぶ。
小学校高学年:定義を理解し、推論能力を鍛えて論理的に答えを導く。冗長な表現の修正、複雑な状況を端的に説明する力を育成する。
小学校低学年から中学年までは、子どもたちの発達の分散が大きいので、できなくても叱らず、適度な距離で見守ることが重要です。
『AIに負けない子どもを育てる』の書評

続いて『AIに負けない子どもを育てる』の書評をご紹介します。
書評①:『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』のアンサー本
書評②:学校の先生や親にとって、教育の新しい教科書となる一冊
それぞれ解説していきます。
書評①:『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』のアンサー本
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』では教科書レベルの文章が満足に読めない子どもたちが一定数存在し、将来AIに仕事を奪われる危険性があることを明らかにしました。
本書では、AIに仕事を奪われない、つまり読解力を身につけるためにどのような教育を施せばよいのかを具体的に提言した内容となっております。
人を対象とする研究には倫理的な面で大きな制約があり、科学的な結果を出せないものも多くあります。
ただ、著者主導のもと行った分析方法を考えると、十分信頼できる教育方法だと考えられます。
書評②:学校の先生や親にとって、教育の新しい教科書となる一冊
子どもたちの読解力を鍛えるには、授業の工夫と人・自然・社会と関わらせることで鍛えられます。
本書p280~294にはその詳細がまとめられており、教育方法に悩む先生や親御さんにとっては喉から手が出るほど知りたい知識が凝縮されています。
かくいうぼくも、教育関係の仕事をしているので、関わる子どもたちに本書の内容を踏まえて、教育を改善しています。
『AIに負けない子どもを育てる』を読むべき理由

最後に『AIに負けない子どもを育てる』を読むべき理由をご紹介します。
理由①:教育の指針にできるから
理由②:大人になってからでも読解力を鍛えられることがわかり、自信が出てくるから
ひとつずつ解説していきます。
理由①:子どもの教育の指針にできるから
「他の子に比べると文字を覚えるのが遅い」「どのように教育すればよいのか自信がない」など教育に対する悩みは尽きないですよね。
でも本書では読解力を身につける方法を通して、子どもの教育指針が綴られています。
もし悩みが出てきたら、本書を読み返して再確認し、行動に移すということができます。
理由②:大人になってからでも読解力を鍛えられることがわかり、自信が出てくるから
第10章には、研究員の方が30代でも読解力が上がったことを手記として投稿されています。
「相手の言っていることは何となくわかるけれど、的を射た答えを言えてないなあ」「この文章の意味ってどういうことだろう」というのは大人でも悩みポイントだと思います。
でも努力次第で読解力を磨けることがわかれば、自信が出てきますよね。本書を読んでそのきっかけを手に入れてください!