みなさんこんにちは。サイジです。毎日読書をしています。
こちらの要望を解決していきます。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』は2019年ビジネス書大賞を受賞しています。
現在は発行部数30万部を突破しており、今もなお注目の本です。
本書から得られて理解できることは以下の3つです。
・AI技術に対する世間の過大評価と現実とのギャップの理解
・読解力を養うことがAIから仕事を奪われないことにつながる
・仕事への取り組みに対する姿勢の変化
上記より、以下に当てはまる方は読むことをオススメします。
・教育関係の仕事をされている方
・勉強に関しての子育てに悩んでいる親御さん
・どんな仕事をしたいか悩んでいる大学生
AIについての話なので専門用語が出てくるので、読みづらい部分が多少あります。
それでも技術関連の本の中では、かなり易しい文体なので比較的読みやすいです。
著者の新井紀子さんが伝えたいことは本文中に何度も記されているので、重要なポイントもつかみやすいです。
では、いきましょう。
目次
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の基本情報

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の基本情報を見ていきます。
書名:AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者:新井紀子
出版月:2018年2月15日
出版社:東洋経済新報社
著者のプロフィールはこちらです。
国立学情報研究所教授、同社会共有知研究センター長。
(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』のカバーより)
一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長。
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学卒業、イリノイ大学大学院数学科課程修了。
博士(理学)。専門は数理論理学。
2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。
2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテキスト」の研究開発を主導。
主著に『ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス)、『数学は言葉』(東京書籍)、『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社)などがある。
MARCHレベルの大学に受かるレベルにまでなった「東ロボくん」の開発を主導されていました。
本書は以下の4章で構成されています。
第1章 MARCHに合格―AIはライバル
第2章 桜散る―シンギュラリティはSF
第3章 教科書が読めない―全国読解力調査
第4章 最悪のシナリオ
「AIは人の仕事を奪うのか」という巷間ではびこる話題について、クリアでわかりやすく答えられています。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の要約・まとめ

続いて『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の要約をご紹介します。
要約①:将来的に働く人々の約半数がAIに仕事を奪われる危機にさらされる
要約②:AIは「意味」を理解できない。読解力を基盤とする理解力やコミュニケーションがあればAIに勝てる
要約③:読解力の低い人は新しく生まれた仕事に就くのも難しいかもしれない
ひとつずつ解説していきます。
要約①:将来的に働く人々の約半数がAIに仕事を奪われる危機にさらされる
日本でも、近い将来、働く人々の約半数が、少なくとも今の仕事を失ってしまう危機にさらされるということなのです。
(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』p75より)
AI技術が得意とする共通点は「決められたルールに従って作業すればよい」ということにあります。
つまり、ホワイトカラーと呼ばれている事務系の仕事がAIによって代替される可能性があるということですね。
ただし、世の中のすべての仕事がAIに取って代わるということではありません。
AIにも苦手なことがあります。
要約②:AIは「意味」を理解できない。読解力を基盤とする理解力やコミュニケーションがあればAIに勝てる
一を聞いて十を知る能力や応用力、柔軟性、フレームにとらわれない発想力などを備えていれば、AIなど恐るるに足らず、ということになります。
(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』p171~172より)
AI技術が得意にしていることに人間が勝つことができません。
ただ、AI技術にも限界点があります。以下の図をご覧ください。

(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を参考に作成)
AIの弱点は、意味がわからないことです。これこそ人間特有の能力です。
読解力を基盤とする理解力やコミュニケーションを磨くことがあれば、AIが発達した未来でも生き残る仕事をすることができます。
要約③:読解力の低い人は新しく生まれた仕事に就くのも難しいかもしれない
読解力こそ、AIが最も苦手とする分野であることは、この本の中で再三述べてきました。
(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』p272より)
しかし、残念なことに多くの人が、AIに対して優位に立てるはずの読解力で、十分な能力を身につけていません。
AIにできないものは、意味を理解しなければいけない仕事です。
つまり読解力を備えていればAIとうまく共存できるのですが、現在の日本教育はAIに代替される能力しか伸ばせていません。
新しい仕事が生まれたとしても読解力を必要とするものなので、AIに仕事を吸収された人たちがその仕事に就くのが難しいのです。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の書評

続いて『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の書評をご紹介します。
書評①:AIとうまく共存していくための必読書
書評②:著者主導で集められた信頼できるデータから主張していることは極めて説得力がある
ひとつずつ解説していきます。
書評①:AIとうまく共存していくための必読書
著者は、近い将来、働く人々の約半数がAIに仕事を奪われるという警鐘と新しく生まれる仕事に就くのに必要な読解力を十分に備えていないことに危機感を募らせています。
ただし、裏を返せば、読解力を鍛えればAIに仕事を奪われることもなく、うまく共存していけることを指示しています。
著者は数学者です。理数系の頭が良すぎる人って論理的でドライな印象ですが(ぼくだけ?)、
著者の文章からは「人々が読解力を養って、将来も人間らしく生きてほしい」という熱い思いが伝わってきます。
書評②:著者主導のもと集められた、信頼できるデータを用いて主張していることは極めて説得力がある
やみくもに「読解力がない」と主張しているのではなく、フェアで膨大な数の調査から出た結果をもとにして読解力の重要性を解説しています。
「AIが人間の仕事を奪っていく」「子どもたちの学力が下がっている」というなんとなくの認識から、
AI技術の進化と限界、文章の表層的な意味さえ読み取れない(=教科書が読めない)子どもたちの実態をとらえることができます。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読むべき理由

最後に『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読むべき理由をご紹介します。
理由①:「AIに仕事が奪われるのか」という答えが明確になり行動するきっかけになるから
理由②:読解力を養おうとする向学心が芽生えるから
解説していきます。
理由①:「AIに仕事が奪われるのか」という答えが明確になり行動するきっかけになるから
半沢直樹のような融資営業さえもAIに仕事を奪われるという現実を知ると、「行動しなきゃまずい」という思考になります。
「何か行動したいと思っていたけれど腰が重い」という方は絶妙な危機感を与えてくれる本書を読んでみてください。
理由②:読解力を養おうとする向学心が芽生えるから
読解力はあらゆる場面で応用可能な素晴らしい能力です。
肌感覚の話にはなりますが、塾の仕事をやっていて読解力がある子どもはそうでない子どもと比べても、学力が伸びやすいと感じています。
先生の解説を聞いたらある程度理解でき、意味を読み解く力があるからだと考えています。
大人も同じで、指示の意図を的確にくみ取ることができる人というのは案外少ないです。
しかし、それができる人は総じて「仕事ができる人」の部類に入ります。
著者いわく、大人になってからでも読解力は鍛えられるらしいので、今からでも遅くはないですよ。