みなさんこんにちは。サイジです。
こちらのご要望を解決していきます。
『ノースライト』は以下にあてはまる方にオススメです。
「本屋大賞ノミネート作品を読みたい」
「『64』『クライマーズ・ハイ』といった横山秀夫作品が好き」
「熱い人間ドラマが読みたい」
物語の後半は胸アツな場面がたたみかけてくるので、鼻の奥が何度もツンとなります。
目次
『ノースライト』のあらすじ

一級建築士の青瀬は、信濃追分へと車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿もなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば――。このY邸でいったい何が起きたのか?
『ノースライト』カバー表紙より
語彙が豊富に出てくるので、読書初心者には読みにくく感じるかもしれません。
読書慣れしている人には、巧みな表現力にうっとりしながら読むことになります。
『ノースライト』の著者・本作紹介

『ノースライト』著者紹介
横山 秀夫
1957年東京生まれ。新聞記者、フリーランスを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、作家デビュー。2000年「動機」で日本推理作家協会賞受賞。以降、『半落ち』、『第三の時効』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』など話題作を連打する。2012年の『64』は各種ベストテンを席巻し、英国推理作家協会賞インターナショナル・タガ―最終候補にも選ばれた。『ノースライト』は作家生活21年目の新たな一歩となる長編ミステリー。
『ノースライト』カバー表紙より
映像化された作品も多くありますね。
ヒット作が続くウラには、2003年に心筋梗塞で倒れてもなお、ほぼ休みなく仕事し続けるという壮絶な経験もされています。
『ノースライト』が生まれるまで
「二〇〇〇年くらいから三年半ほど、仕事部屋のマンションの一室から一歩も出ずに、ひたすら小説を書く生活が続いていました。そんな時に新潮社から『旅』という雑誌を復刊するので、長編を連載してほしいと言われたんです。とてもじゃないけど、新しい仕事なんて受けられる状況ではなかったんですが、その依頼に光を感じたんですよ。"ああ、俺も旅に出たい""今の状況から抜け出したい"という気持ちが旅という一語で引っ張り出されたんです」
小説丸より(https://www.shosetsu-maru.com/storybox/interview/71)
『ノースライト』の冒頭に「木村由花さんに捧ぐ」と添えてあります。
木村さんは『旅』に長編の連載を依頼した張本人です。
残念ながら木村さんは2015年に亡くなられています。
光を感じるきっかけを与えた木村さんに、著者の横山さんは『ノースライト』を贈られたんだと、その一行を読んで感じますね。
『ノースライト』の特徴・感想

『ノースライト』の特徴・感想を3つにまとめました。
特徴・感想①:つかみきれない真相
特徴・感想②:熱い人間ドラマ
特徴・感想③:点が線になる
ひとつずつ解説していきます。
特徴・感想①:つかみきれない真相
仮面家族だったのだろうか。本当は家族の心はバラバラで、なのに各々、現実を押し隠して役者さながらの演技をしていた。男の子だけが真実を訴えていた。叫んでいた。もうこんなのイヤだと。
背筋が寒くなる想像だった
『ノースライト』p102~103より
吉野の消息が途絶えて探すことになりますが、なかなか手掛かりをつかめません。
唯一頼りになる「タウトの椅子」をヒントに真相に近づきかけては遠ざかる繰り返しです。
前半は我慢の時間が続きます。
特徴・感想②:熱い人間ドラマ
〈あー、読みましたよ。あんなのどうせ選挙か何かが絡んだ嫌がらせでしょ。もうこっちの業界は、だれを応援しろとか、人を出せとか上からの圧がすごくてうんざりなんです。先生、あんなの気にしないでバリバリやって下さい。仕事は人と人ですもん。私はどこまでも先生についていきますよ〉
鼻孔の奥がつんとした。
『ノースライト』p319より
前半を乗り切ると、後半は怒涛の人間ドラマが押し寄せてきます。
ボスであり大学の同級生・岡嶋とのやりとり、仕事で関係する人々のかかわりには、何度も鼻の奥をつんとさせられます。
特徴・感想③:点が線になる
すでに分かっている。真相を知っている。
青瀬は狼狽した。
わかっている? 知っている? なぜそう思うのか。
わかっているからだ。知っているからだ。真相はすぐ隣にある。襖一枚隔てた向こう側にある。
『ノースライト』p291より
吉野が失踪した理由は、読んでても全然わかりません。
「こうかも!」と思うことすらできないんです。
ただ点が散らかっているような感じに思えます。
しかし「タウトの椅子」の手がかりや青瀬の過去をおっていくと、一本の線が見えてきます。
点が線になると、物語が佳境に達し、読み進めるのを止められなくなります。
最後に

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
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