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【2020年本屋大賞ノミネート】『ライオンのおやつ』の書評・レビュー

みなさんこんにちは。サイジです。こちらのご要望を解決していきます。

読書で悩む人
読書で悩む人
『ライオンのおやつ』の内容をネタバレしない程度に知りたい。

『ライオンのおやつ』は2020年本屋大賞にノミネートされた作品です。

以下にあてはまる方は『ライオンのおやつ』をオススメします。

「泣ける小説が読みたい」
「『死』と向き合う考えを磨きたい」
「読み終わったあと、すがすがしい気持ちになりたい」

「死」という重いテーマを扱っていますが、ほのぼの系のタイトルと易しい文章体で手に取るハードルを下げてくれています。

『ライオンのおやつ』のあらすじ

余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があった――。

『ライオンのおやつ』帯より

『ライオンのおやつ』の大半は雫の一人称視点で書かれています。

感情の動きや思考の逡巡を、よりリアルに雫の立場で感じるので感情があふれてしまうかもしれません。

『ライオンのおやつ』の著者紹介

著者紹介

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ。2008年『食堂かたつむり』でデビュー。以降数多くの作品が、英語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、イタリア語などで翻訳され、様々な国で出版されている。『食堂かたつむり』は、2010年に映画化され、2011年にイタリアのパンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞。2012年には『つるかめ助産院』が、2017年には『ツバキ文具店』がNHKでテレビドラマ化された。『ツバキ文具店』と『キラキラ共和国』は「本屋大賞」にノミネートされている。その他著書に『喋々喃々』『ファミリーツリー』『リボン』『ミ・ト・ン』など。

『ライオンのおやつ』より

小説家だけでなく翻訳家や作詞家の一面も持つ小川さん。

浜省こと浜田省吾の所属するFairlifeのメンバーでもあり、作詞を担当しています。

『ライオンのおやつ』が生まれるまで

『ライオンのおやつ』には「死」がテーマで取り扱われています。

死を描こうと思ったきっかけは、母が病で余命を宣告されたことだった。「死ぬのが怖い」と言う母を見て、死をきちんと見つめてみたいと思った。「死ぬのが怖くなくなるような話を書きたいな」とも。その象徴が、物語の中に出てくるおかゆ。「おかゆみたいに体にも心にも滋養がいきわたって、読む人の心がぽかぽかになれば」と願った。

好書好日より https://book.asahi.com/article/12927426

母親の余命宣告をきっかけに、死をきちんと見つめてみたいと思った小川さん。

『ライオンのおやつ』ができるきっかけとなっています。

『ライオンのおやつ』の特徴・感想

『ライオンのおやつ』の特徴・感想を3つにまとめました。

特徴・感想①:活力がみなぎってくる
特徴・感想②:易しい文章体と「死」という重いテーマのギャップ
特徴・感想③:かっこいい生きざま

ひとつずつ解説していきます。

特徴・感想①:活力がみなぎってくる

「私ね、死んだらどうなるんだろう、って、ちょっとだけ楽しみなんだ。負け惜しみとかじゃなくて。だって、幽体離脱とか、あの世とかこの世とかお花畑とか興味あるんだもの。だけど、自分がどうなっちゃうんだろうっていう不安も、まだちょっとだけ残ってるの。でも、その時にお楽しみがあったら、そういう不安が少しは解消されるんじゃないか、って考えたの」

『ライオンのおやつ』p83~84より

『ライオンのおやつ』では、死を前向きにとらえています。

ただ悲しいだけで終わるではなく、死んだ後にどんなことが待っているのか、その先を想像することでむしろ楽しみでもあると雫は言っています。

余命宣告された雫が言うからこそ、死を肯定的にとらえる思いに胸を打たれますね。

特徴・感想②:易しい文章体と「死」という重いテーマのギャップ

死を受け入れるということは、生きたい、もっともっと長生きしたいという気持ちも正直に認めることなんだ、って。そのことは、私にとって、とても大きな気づきをもたらした。

『ライオンのおやつ』p147より

『ライオンのおやつ』は地の文もほぼ会話文に近いので、文章体がかなり易しく読みやすいです。

なので死という重いテーマを扱っているんですが、ハードルが低く設定されているので気軽に手に取れて死への価値観に触れることができます。

特徴・感想③:かっこいい生きざま

すべては、私の人生の結果。生きてきた時間の結晶が、今だ。
だから、私が私の人生の祝福をしなくて、誰が祝福するの?
私は、私自身をこの両腕で強く抱きしめ、その背中に、お疲れ様、よく頑張ったな! とねぎらいの言葉をかけたかった。

『ライオンのおやつ』p206より

ホスピスでさまざまな人と出会い、間近で死に遭遇するようになった雫にも徐々に体と心に変化が訪れてきます。

本をとおして雫の生きざまを見届ける役目を担うことになりますが、「よく頑張ったな。かっこよかったよ!」とねぎらいたくなります。

読み終わると、歩けるだけで幸せなんだという事実に気づき、さわやかな気分になれる小説です。

最後に

ここまでおお読みいただき、ありがとうございます。

『ライオンのおやつ』を読みたくなった方はAmazonや楽天でポチってみてください。