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【2020年本屋大賞ノミネート】『熱源』の書評・レビュー

みなさんこんにちは。サイジです。

読書で悩む人
読書で悩む人
『熱源』の内容をネタバレしない程度に知りたい。

こちらのご要望を解決します。

『熱源』は第162回直木賞受賞作であり、2020年本屋大賞ノミネート作品でもあります。

もしダブル受賞となれば2013年の『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著)以来2作目となります。

以下にあてはまる方は『熱源』をオススメします。

「長編の歴史小説が好き」
「直木賞をとった作品が読みたい」
「人間の生きざまを熱く書かれた作品を読みたい」

『熱源』は多数派民族により端に追いやられるアイヌ民族の誇りと生きざまをえがいた、熱のこもった一冊です。

『熱源』の紹介

こちらでは『熱源』の紹介をしていきます。

『熱源』のあらすじ

北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。
人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人がいた。

『熱源』帯より

主人公は二人います。ひとりは日本人と同化される教育をされながら、アイヌ民族として誇りを抱いて生き抜こうとするヤマヨネクフ。

もうひとりはロシア皇帝暗殺の罪でサハリンに流刑となったポーランド人のブロニスワフ・ピウスツキ。

当時のポーランドはロシアに占領されていて地図上から姿を消しています。

生まれも話す言葉も違うふたりですが、故郷を取り戻すことに情熱を注ぎ、次々に襲いかかる障害に抗います。

『熱源』の構成

本作は6章で構成されています。

序章 終わりの翌日
第一章 帰還
第二章 サハリン島
第三章 録されたもの
第四章 日出づる国
第五章 故郷
終章 熱源

第一章でヤマヨネクフ、第二章でブロニスワフが登場し、第三章以降で二人の物語が絡み合います。

読む前に入れておいたほうがいい情報は、ロシア占領から抜け出すポーランドのシーンもかなりのページを割いて書かれていることです。

「アイヌ民族をメインにしている」と思って読むと第二章でつまずきやすいです。

『熱源』の評価

読みやすさ:★★☆☆☆
おもしろさ:★★★★★
オススメ度:★★★☆☆

一つずつ解説していきます。

読みやすさ:★★☆☆☆

アイヌ民族やロシア人、ポーランド人の名前や地域が読みにくくて慣れないうちは心の中でつっかえながら読むことになります。

読書初心者は挫折の原因になるかもしれません。

おもしろさ:★★★★★

読みにくさを乗り越えると、『熱源』のおもしろさを味わえます。

ヤマヨネクフとブロニスワフの生きざまが切なくてかっこいいので物語に引き込まれます。

オススメ度:★★★☆☆

初心者にはおすすめできませんが、ある程度読書に慣れている方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

『熱源』の著者紹介

川越宗一

1978年、大阪府生まれ、京都府在住。
龍谷大学文学部史学科中退。
2018年、「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞。

『熱源』より

意外にも作家歴は浅いんですね。

本作『熱源』は2020年2月1日時点で第6刷目を発行しています。

発売から半年以上たっても今なお売れ続けています。

2作目で『熱源』という大作を生み出したので、今後が楽しみな作家さんですね。

『熱源』の特徴・感想

『熱源』の特徴・感想を3つにまとめました。

特徴・感想①:アイヌの生きざま
特徴・感想②:民族として生きる誇り
特徴・感想③:熱をたぎらせ生きていく

ひとつずつ解説していきます。

特徴・感想①:アイヌの生きざま

「”次”とか”また”とか”まさか”ってのは、生きてる限り、あるもんさ」

『熱源』p425より

時代に翻弄されながらも力強く生き抜いていくアイヌの人々。

故郷を追われたり日本人同化への流れに抗ったりと困難は尽きません。

子孫に「アイヌ民族であることの誇り」を持ってもらうために危険極まりない南極探検に挑戦するヤマヨネクフの姿には胸を打たれます。

特徴・感想②:民族として生きる誇り

「お言葉を借りれば、見直される必要なんてなかったんですよ、俺たちは。ただそこで生きているってだけで卑下する必要もないし、見直してもらおうってのも卑下と同じだと思いましてね。俺たちは胸を張って生きていればいい。一人の人間だってなかなか死なないんだから、滅びるってこともなかなかない。今はそう思ってます」

『熱源』p374より

ヤマヨネクフとピウスツキの共通点は、失った故郷を取り戻すために行動していることです。

アイヌとポーランド――。住む地域は追われても、誇りまで失ってはいません。

困難の果てに俺は俺でいい、と気づくヤマヨネクフにはもはや感嘆してしまいます。

特徴・感想③:熱をたぎらせ生きていく

「弱気は食われる。競争のみが生存の手段である。そのような摂理こそが人を滅ぼすのです。だから私は人として、摂理と戦います。人の世界の摂理であれば、人が変えられる。人知を超えた世界の摂理なら、文明が我らの手をそこまで伸ばしてくれるでしょう。私は、人には終わりも滅びもないと考えます。だが終わらせねばならぬことがある」

『熱源』p327より

『熱源』の随所に人が熱を帯びる場面が書かれています。

似た境遇を持つヤマヨネクフとブロニスワフが出会って互いの意志を理解していくシーンはまさに熱を帯びています。

歴史小説なんですが、登場人物の情熱にスポットを当てた熱い物語です。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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