小説

【2020年本屋大賞ノミネート】『線は、僕を描く』の書評・レビュー

こんにちは。サイジです。

読書で悩む人
読書で悩む人
『線は、僕を描く』の内容をネタバレしない程度に知りたい

以下にあてはまる方は、『線は、僕を描く』をオススメします。

「美術や文化をテーマにした小説が好き」
「本屋大賞ノミネート作品が読みたい」
「悪者がいない小説が好き」

ある人やものと出会って、価値観が変わった経験ってありませんか?

『線は、僕を描く』では、無気力だった大学生が水墨画に出合い、没頭するようになり人生に光が差し込むようになる成長物語です。

『線は、僕を描く』の紹介

こちらでは『線は、僕を描く』の紹介をしていきます。

『線は、僕を描く』は王様のブランチBOOK大賞2019を受賞しており、2020年本屋大賞ノミネート作品でもあります。

2020年1月28日時点で第7冊も発行されています。

『線は、僕を描く』のあらすじ

ひょんなことから水墨画の大家・篠田湖山の内弟子になった青山霜介は、多くの人との出会いと絵を描くことを通じて「命」を学ぶ。

『線は、僕を描く』帯より

霜介は高校生のときに両親を事故で亡くして以来、無気力な生活を送っています。

エスカレータ方式で進学した大学で湖山と水墨画に出合い、見習い絵師として描くうちに霜介の心に変化が起こっていきます。

『線は、僕を描く』の構成

『線は、僕を描く』は全4章で構成されています。

他の章に比べて第1章がかなり長いので、やや気持ちが萎えるかもしれません。

ただ出てくる登場人物がおもに8人と、そんなに多くないので

「途中からストーリーがわからなくなった」ということにはなりにくい作品です。

『線は、僕を描く』の評価

読みやすさ:★★★☆☆
おもしろさ:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆

ひとつずつ解説していきます。

読みやすさ:★★★☆☆

全体的にわかりやすい文章です。

ただ時おり水墨画の専門用語が序盤に出てくるので、詰まってしまうことがあります。

それを乗り越えると詰まるポイントはほとんどないですね。

おもしろさ:★★★★☆

『線は、僕を描く』は水墨画だけでなく、デリケートな人間関係も絶妙に表現されていて読みごたえがありました。

水墨画や文化の知識がなくても充分楽しめる作品でした。

オススメ度:★★★☆☆

美術や文化を取り上げる小説って、ちょっと食わず嫌いしている人いると思うんですよ。

ターゲット層が絞られますよね。

『楽園のカンヴァス』など原田マハの作品が好きな方は楽しめると思います。

『線は、僕を描く』著者紹介

砥上 裕將(とがみ ひろまさ)

1984年生まれ。福岡県出身。水墨画家。
『線は、僕を描く』で第53回メフィスト賞受賞。

『線は、僕を描く』より

受賞をきっかけに作家デビューされています。

砥上さんが水墨画家だからこそ、描くシーンで繊細で追求された表現ができるんですね。

『線は、僕を描く』の特徴・感想

『線は、僕を描く』の特徴・感想を3つにまとめました。

特徴・感想①:霜介のバキバキすぎる水墨画の才能
特徴・感想②: 読者を飽きさせない恋要素
特徴・感想③:水墨画に出合ったことで色彩を持ち始める霜介の人生

それぞれ解説していきます。

特徴・感想①:霜介のバキバキすぎる水墨画の才能

「黒一色で描かれているのに、色を感じます。凄いですね」

『線は、僕を描く』p23より

「今君が経験したのが、天才が絵を描いたときに感じる感覚だよ。純粋に絵を描くことと言ってもいい」

『線は、僕を描く』p53より

霜介は水墨画についてまったくの素人であるにもかかわらず、大巨匠・湖山からひたすら褒められます。

湖山門下の優秀すぎる弟子からも称賛され続けます。

水墨画の作品に対する感想も鋭すぎて、もはや笑ってしまいます。

特徴・感想②: 読者を飽きさせない恋要素

ぼくの頭に浮かんだのは相変わらず映像だけだった。一本の線とその一本の線の中にある想いだけだ。いつもならこんなとき心を閉ざしていれば、それでよかったのに、千瑛の大きな一対の目は、僕を離してくれなかった。

『線は、僕を描く』p193より

『線は、僕を描く』の読みどころの1つは、霜介と湖山の孫であり絵師の千瑛(ちあき)の関係性です。

水墨画の描写だけだと本作の離脱者は多くなると思います。

でも霜介と千瑛の微妙な関係の結末を見届けたいという気持ちが、読むモチベーションを維持してくれます。

特徴・感想③:水墨画に出逢ったことで色彩を持ち始める霜介の人生

「(中略)僕はあのときには知らなかった新しいものにたくさん出逢っていた。わけもわからないまま、とにかく歩き出したことが僕の力になった」

『線は、僕を描く』p262より

両親を失ってから無気力の霜介の描写を読むと、頭の中で色彩を持たない白黒でイメージされます。

水墨画に出逢い、ひたむきに腕を磨いているうちに徐々に色彩を持ち始めます。

殻にこもっていた霜介も活力がみなぎってきます。

少しずつ勇気を出して行動する霜介に読み手も心を動かされます。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございいます。

『線は、僕を描く』が気になった方はAmazonか楽天でポチってみてください。