こんにちは。サイジです。
本記事ではアメリカのウォルト・ディズニーの配当金・利回り・増配率と銘柄分析の結果を解説していきます。
こちらの疑問にお答えしていきます。※投資は自己責任でお願いします。
①コロナショックにより株価は下落したが直近10年間の株価上昇率はS&P500を超えている
②配当は安定しているものの、高配当狙いの場合は魅力的に映りにくい
③(個人の意見)長年愛されるキャラクターを数多く持つディズニーは、今後も私たちに富をもたらしてくれる
目次
ディズニーの株価・株価上昇率・時価総額

ディズニーの株価・株価上昇率

2020年はコロナの影響で株価が急落していますが、持ち直しつつあります。


30年以上の超長期で株価上昇率を見ると、ディズニーはS&P500より圧倒的な上昇をしています。
2012年からの10年間もディズニーの方が上昇率は高いですが、コロナショックの影響で直近の上昇率はS&P500の勢いに負けそうですね。
ディズニーの時価総額
2022年1月28日時点の時価総額は252,371,382千ドルです。株価の割安・割高を判断できるバフェット指標で計算すると約0.012となります。1を超えると暴落する可能性があるとされています。
当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100
ディズニーの配当金・利回り・増配率

ここからはディズニーの配当金・利回り・増配率を詳しく見ていきます。
ディズニーの配当金・利回り


コロナショックの影響で2020年と2021年の配当は実施されていません。
ディズニーの増配率

増配率は高い数値とは言えません。高配当株狙いだったあなたは、株価は魅力的ですが対象外かもしれません。
ディズニーの事業内容・商品

ミッキーマウスをはじめ、全世代から愛されているキャラクターの国、ディズニー。投資価値としてはいかほどのものなのかを検証していきます。
①コンシューマ・プロダクツ:商品や出版ライセンス
②スタジオ・エンターテイメント:アニメや実写映画の製作、配給など
③パーク&リゾート:日本では東京ディズニーランドやディズニーシー
④インタラクティブ:PC、スマホ、家庭用ゲームに向けて製作、提供
⑤メディア・ネットワーク:放送事業
こちらもコロナの影響でパーク&リゾート事業が大打撃を受けました。
一方ディズニー+(プラス)という新しいサブスクリプションサービスにも力を入れています。
・マーベル
・ピクサー
・スターウォーズ
・ミッキーマウス
・ディズニーランド
長年愛されて、これからも愛されるであろうキャラクターを数多く保有しているのは強みですね。
ディズニーの財務諸表を用いた銘柄分析

僕の分析は主に「バフェットの財務諸表を読む力」に基づいています。
ウォーレンバフェット流の分析では、その企業に永続的競争優位性があるかどうかを見極め、投資の判断を行っていきます。
まず競争優位性とは、文字通りその企業が他の企業との競争に優位に立てている状態のことを言います。その状態が今後も続いていくだろう企業に対して「永続的競争優位性を持つ」と投資の神様、ウォーレン・バフェットは表現しています。
それでは損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書とパートを分けて財務諸表の分析結果を解説していきます。
ディズニーの損益計算書
まずは損益計算書から確認していきます。
粗利益率、純利益、純利益率の推移

コロナショックが響き、2020年の粗利益率、純利益は大幅下落しています。
2020年以外の9年間の純利益は右肩上がりで高い水準で推移しています。
粗利益に占める販管費、研究開発費、減価償却費の割合

販管費の割合が増えてるのは粗利益の減少と販管費の増大に伴うことが原因です。
営業利益に占める支払利息の割合

2020年はシニアノートを発行したことで支払利息が増えています。
PER(一株当たり利益の推移)

PER=当期純利益÷発行済み株式総数。PERが高いほど、株価も高くなる
コロナショックを除いては右肩上がりの推移ですね。
こういった不況への耐性は弱いですが、人々から愛されるキャラクターを持っていることは強みです。
P&Gの貸借対照表
続いて貸借対照表の項目に移ります。
現金・現金同等物、純利益、棚卸資産の推移比較

現金保有が2020年に急増しているのは、シニアノートを発行したことが要因です。
総売上高に占める売掛金の割合

商品やサービスを後払いとして取引すること
ほぼ平均くらいなので、永続的競争優位性は持てていませんが、弱点にもなっていません。
土地および生産設備、のれん、無形資産の推移

有形固定資産は横ばいで、むやみに設備投資しているわけではなさそうです。
のれん代:ある企業を買収するとき、帳簿価額(買収される企業の純資産)よりも高い代金を払った場合、超過分がのれん代に載る
無形資産:特許やブランド名など、物理的に手に触れることのできない資産のこと
ROA(総資産利益率)、ROE(株主資本利益率)の推移

総資産利益率。企業が効率的に資産を使用しているかを示す。
ROAは必ずしも高い方が良いとは限りません。
〈コカ・コーラは430億ドルの資産にたいして総資産利益率が12%、(中略)〈ムーディーズ〉は17億ドルの資産にたいして総資産利益率が43%である。(中略)たとえば〈コカ・コーラ〉に対抗すべく430億ドルを集めるのは不可能だが、〈ムーディーズ〉に対抗すべく17億ドル集めるのは、可能な範疇に入ってくる。(中略)〈ムーディーズ〉の根源的経済性は〈コカ・コーラ〉よりもはるかに脆弱と言える。なぜなら、業界への参入コストが著しく低いからだ。
「バフェットの財務諸表を読む力」より
ROA自体は業界中央値より高いです(2020年を除く)。
ディズニーの総資産は業界でも屈指の多さなので、地位を脅かされる可能性も少ないと考えられます。

自己資本利益率(株主資本利益率)。企業が内部留保を有効に使っているかを示す。平均よりも高ければ永続的競争優位性を持つ可能性がある。
2020年は純損失になったことでROEもマイナス計上しました。
近年は中央値よりも高い年もあっただけに残念です。
自己株式調整済み負債比率と内部留保

2019年に内部留保が減少したのは、21世紀フォックスを買収したことが要因と思われます。
長期借入金と短期借入金の推移

2020年の長期借入金が約50000で純損失が出ており、心配な状況です。
一方で短期借入金はほとんどしていないので、返済に追われる状況にならなさそうです。
キャッシュフロー計算書
最後にキャッシュフロー計算書の項目を確認していきます。
純利益に占める資本的支出の割合と自社株買いの推移

年間の割合が50%以下、なかでも25%以下ならさらに永続的競争優位性を持つ可能性は高くなります。
2019年まで50%前後と良いラインを守ってきています。

毎年行われていた自社株買いは2018年でストップしました。
2019年は21世紀フォックスの買収で資金が必要だったこと、2020年はコロナショックが影響したと考えて良さそうです。
ディズニーの財務諸表分析まとめ

①コロナショックで2020年の業績が悪化しているけれど、2011~2019年は永続的競争優位性を持つ要素が多く見られた。
②ミッキーマウスはじめ、今後も愛されるキャラクターを数多く保有することで他社との競争に勝ちやすい
③コロナショック後の業績改善しだいでは投資価値として魅力的な企業