こんにちは。サイジです。
本記事ではアメリカのモンデリーズ・インターナショナルの株価・配当・増配率と銘柄分析の結果を解説していきます。
こちらの疑問にお答えしていきます。※投資は自己責任でお願いします。
①2003年頃から配当金が増加し続けており、直近10年間の利回りは2.5~3.5%を推移している
②株価はS&P500に比べて劣るが、過去30年間上昇している。
③財務諸表の銘柄分析結果では~~~~~~
オレオやリッツが有名なモンデリーズ。その正体を暴き、投資価値のある企業か探ってまいります。


株価は上昇を続けていますが、近年の株価上昇率はS&P500に差をつけられています。
2022年1月10日現在の時価総額は63,466,683,757ドルです(2022/01/18現在)。株価の割安・割高を判断できるバフェット指標で計算すると約0.30となります。1を超えると割高と判断されるので、この指標から考えると割安と言えます。
当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100
目次
モンデリーズの配当・利回り
ここからはモンデリーズの配当金・利回り・増配率を詳しく見ていきます。
モンデリーズの配当金・利回り

モンデリーズの増配率

2015年からけ2ケタ増配を達成し続けています。配当においてはコロナの影響を感じませんね。
もちろんこの先も2桁増配率になるかはわかりませんが、高配当狙いのあなたは要注目の企業です。
モンデリーズの事業内容・商品

モンデリーズの銘柄分析から将来、私たちに富をもたらしてくれるのかを探ります。
モンデリーズは150以上の国に商品を販売しているお菓子メーカーです。
・オレオ
・リッツ
・トライデント(ガム)
・ナビスコ
・メントス
財務諸表を用いたモンデリーズの銘柄分析
僕の分析は主に「バフェットの財務諸表を読む力」に基づいています。
ウォーレン・バフェット流の分析では、その企業に永続的競争優位性があるかどうかを見極め、投資の判断を行っていきます。
競争優位性とは、その企業が他の企業との競争で優位に立てている状態のことを言います。その状態が今後も続いていくだろう企業に対して「永続的競争優位性を持つ」と投資の神様、ウォーレン・バフェットは表現しています。
それでは損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書とパートを分けて財務諸表分析の結果を解説していきます。
モンデリーズの損益計算書
まずは損益計算書から確認していきます。
粗利益率、純利益、純利益率の推移

近年は40%を超えることも多いですが、もう一声欲しかったところですね。
2016年以降右肩上がりの傾向ですが、売上高に占める純利益が20%を切る年がほとんどで永続的競争優位性を見つけることは難しいですね。
粗利益に占める販管費、研究開発費、減価償却費の割合

販管費、研究開発費、減価償却費ともに一貫した推移をたどっています。販管費は高いですが次第に減少し、研究開発費と減価償却費は低い推移なので、競争により余計なコストをかけているわけではなさそうです。
営業利益に占める支払利息の割合

10年間15%を超えたことは一度もありません。優秀ですね。
営業利益に占める支払利息の割合が高すぎます。2017年以降こそ15%を切ることもあります。ただ、コカ・コーラやペプシコが10年間で一度も15%を上回らなかっただけに、不利に映ります。
PER(一株当たり利益の推移)

PER=当期純利益÷発行済み株式総数。PERが高いほど、株価も高くなる
きれいな右肩上がりではないものの、2016年以降上昇のかたちをつくっています。
P&Gの貸借対照表
続いて貸借対照表の項目に移ります。
現金・現金同等物、純利益、棚卸資産の推移比較

現金・現金同等物の保有の多さは不況でも乗り越えられる体力に例えることができます。
モンデリーズは他社平均より劣る年が多く、不況の波が来たときに不安要素があります。2020年には他社平均を越えたので本業から得た資金を上乗せしていってほしいです。
モンデリーズの棚卸資産は減少のち横ばいで推移しています。
総売上高に占める売掛金の割合

商品やサービスを後払いとして取引すること
他社と比較した優位性はありませんが、売掛金の割合が減少の推移をたどり、現在は平均と同じくらいです。今後どうなるか注目ですね。
土地および生産設備、のれん、無形資産の推移

有形固定資産が横ばいですので、競争にさらされコストが肥大化することはなさそうですね。
のれん代:ある企業を買収するとき、帳簿価額(買収される企業の純資産)よりも高い代金を払った場合、超過分がのれん代に載る
無形資産:特許やブランド名など、物理的に手に触れることのできない資産のこと
のれん代、無形資産は減少からのほぼ横ばいです。
ROA(総資産利益率)、ROE(株主資本利益率)の推移

総資産利益率。企業が効率的に資産を使用しているかを示す。
自己資本利益率(株主資本利益率)。企業が内部留保を有効に使っているかを示す。
ROAは必ずしも高い方が良いとは限りません。
〈コカ・コーラは430億ドルの資産にたいして総資産利益率が12%、(中略)〈ムーディーズ〉は17億ドルの資産にたいして総資産利益率が43%である。(中略)たとえば〈コカ・コーラ〉に対抗すべく430億ドルを集めるのは不可能だが、〈ムーディーズ〉に対抗すべく17億ドル集めるのは、可能な範疇に入ってくる。(中略)〈ムーディーズ〉の根源的経済性は〈コカ・コーラ〉よりもはるかに脆弱と言える。なぜなら、業界への参入コストが著しく低いからだ。
「バフェットの財務諸表を読む力」より
モンデリーズのROAは業界平均より低いです。業界への参入コストの壁が高いのであまり問題ないと考えます。
一方ROEは業界平均よりも低く、自己資本の活用が課題ありですね。
自己株式調整済み負債比率と内部留保

モンデリーズの自己株式調整済み負債比率はかなり低い水準で推移しており、内部留保も2012年以降は着実に積み増しされています。
長期借入金と短期借入金の推移

2020年の長期借入金が約17,500、純利益が約4000で、約4年で返済できる計算です。
近年は長期借入金が増加しているので返済できる期間が延びていますがセーフの範疇です。
短期借入金はほとんどしていないので大丈夫そうです。
キャッシュフロー計算書
最後にキャッシュフロー計算書の項目を確認していきます。
純利益に占める資本的支出の割合と自社株買いの推移

年間の割合が50%以下、なかでも25%以下ならさらに永続的競争優位性を持つ可能性は高くなります。
2014年、2016年に跳ね上がっていますが、純利益が減少したことが原因です。資本的支出額の推移は横ばいでした。
自社株買いは2013年から行われていますね。配当は受け取り主が税金を払う可能性があります。ですが自社株買いによって発行済み株式総数を減らし、1株当たり利益を増加させると、利確しない限り株主は税金なしで富を得られます。
モンデリーズの財務諸表分析まとめ
【損益計算書】 | MDLZ |
粗利率40%以上 | △ |
粗利に占める販管費の割合が一貫しており、かつ低い。 | △ |
粗利に占める研究開発費が少ないor0 | 〇 |
粗利に占める減価償却の割合が低い | 〇 |
営業利益に占める支払利息の割合が15%以下 | △ |
純利益ー(特益+特損)が右肩上がりか | ー |
純利益が右肩上がりか | △ |
売上高に占める純利益の割合が20%以上 | △ |
1株当たり利益の長期的推移(継続して増加しているか) | △ |
【貸借対照表】 | |
現金保有の多さ | △ |
棚卸資産と純利益がともに増加する傾向 | × |
売上高に占める売掛金の割合が同業他社よりも低い | △ |
のれん代が増加している | × |
無形資産が増加している | × |
あまりに高い総資産利益率は競争優位性の脆弱さを表している場合がある | 〇 |
長期借り入れをすることがほとんどない。もしくは0 | 〇 |
短期借入金が長期借入金を上回っていない | 〇 |
自己株式調整済み負債比率が0.8以下 (自社株式を加えた値を元に負債合計/純資産合計) | 〇 |
優先株を発行しない | 〇 |
内部留保(利益剰余金)の長期的かつ着実な増加 | 〇 |
株主資本利益率が平均よりも高い | × |
【キャッシュフロー計算書】 | |
資本的支出が低くなる(純利益50%以下、25%以下) | △ |
自社株買い | 〇 |
近年は永続的競争優位性の条件に当てはまる項目が増えてきました。これからが楽しみな企業ですね!
さあ、まずは証券口座を開設して投資の準備を始めましょう。