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【米国株】P&G(プロクターアンドギャンブル)を10年分銘柄分析した結果

こんにちは。サイジです。

本記事ではアメリカのプロクター&ギャンブル(P&G)の銘柄分析を10年分した結果を解説していきます。

悩む人
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P&Gに投資しようか悩んでるけど、どうしようかな?

10年分の財務諸表の銘柄分析からの個人的見解をもとに、こちらの疑問にお答えしていきます。
※投資は自己責任でお願いします。

結論から言うと、P&Gは投資対象として非常に魅力的な企業です。

今から184年前、妻同士が姉妹だったウィリアム・プロクターとジェームズ・ギャンブルは、義父のすすめで共同でビジネスを始めました。

それがのちのプロクターアンドギャンブル、P&Gでございます。

P&Gの事業解説

P&Gはビューティケア、ヘルスケア、ホームケアの3部門に分かれています。パンテーン、パンパース、アリエールなど超有名商品が生活に根差していますよね。

競合他社が多い業界ですが、多くの部門でリーディングカンパニーとしての地位を築き上げています。

僕はこの「世界中の人々から愛されている商品を多くそろえているので、永続的競争優位性を備えているのではないか」という仮説からP&Gへの投資価値を探っていきます。

永続的競争優位性とは?

まず競争優位性とは、文字通りその企業が他の企業との競争に優位に立てている状態のことを言います。その状態が今後も続いていくだろう企業に対して「永続的競争優位性を持つ」と投資の神様、ウォーレン・バフェットは表現しています。

僕の分析は主に「バフェットの財務諸表を読む力」に基づいています。

P&Gの財務諸表を用いた分析

それでは損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書とパートを分けて財務諸表の分析結果を解説していきます。

P&Gの損益計算書

まずは損益計算書から確認していきます。

粗利益率、純利益、純利益率の推移

粗利益率は10年以上50%前後を推移しています。粗利益率が40%を超えると何らかの永続的競争優位性を持つ可能性が高いと言われています。

ただ純利益関連を見ると一筋縄ではいきません。永続的競争優位性を持つ企業は純利益が右肩上がりに推移し、売上高に占める純利益の割合が20%以上と言われています。

純利益は近年右肩上がりの気配を見せていますが、ほぼ横ばいと言ったところです。

粗利益に占める販管費、研究開発費、減価償却費の割合

販管費の割合が40~50%を占めています。3項目を合計すると粗利益の過半数を占めています。

ただし、推移はほとんど変動することなく一貫性を保っています。30~80%なら永続的競争優位性を持つ企業もあるので、一概に悪いとも言えませんね。

減価償却費や研究開発費単体でも低水準なので、魅力的に考えることもできます。

営業利益に占める支払利息の割合


業界にもよりますが、永続的競争優位性を持つ企業は支払利息をほとんど持ちません。
ウォーレン・バフェットは営業利益に占める支払利息が15%以下であれば永続的競争優位性を持ちうると言及しています。
P&Gは2019年に高くなっていますが、それでもすべて15%以内に収まっているので優秀ですね。

PER(一株当たり利益の推移)

コチラも右肩上がりが理想の形です。一時下がりはしているものの、右肩上がりの形を取りつつあります。

P&Gの貸借対照表

続いて貸借対照表の項目に移ります。

現金・現金同等物、純利益、棚卸資産の推移比較

現金・現金同等物の保有の多さは不況を乗り越える体力のようなものです。
P&Gの現金保有は他社と比べて高水準を示しており、不況がやってきたとしても乗り越えられるポテンシャルを備えていそうですね。

永続的競争優位性を持つ企業は純利益と棚卸資産が増加する傾向にあります。
表でも下落する時期はありますが、再び増加していると言えますね。

総売上高に占める売掛金の割合

売掛金とは?

商品やサービスを後払いとして取引すること

総売上高に占める売掛金の割合が一貫して同業他社より低い場合、永続的競争優位性を持っている可能性があります。
なぜなら、取引条件を妥協する必要なく、有利にビジネスを進めていけるからです。P&Gは10年間すべて同業他社平均を下回っているので、強みがありますね。

土地および生産設備

激しい競争にさらされている企業はどんどん設備投資していく必要があり、莫大な経費が掛かります。
一方競争優位性を持っていると、現在の設備を使い切るまで使用すればよいので経費が掛かりません。
P&Gは長期的にみても設備の増加はほとんどしておらず、競合ひしめく業界でも優位な位置にいるということができます。


のれん代、無形資産の推移

のれん代も無形資産も2013年以降はほぼ横ばいです。P&GはSK-Ⅱやパンテーン、ジレットなど世界中から愛されているブランドが数多く販売しています。生活に根差した商品でもあり
、無形資産の価値には計上されないものの今後も安定した売り上げを計上していくと考えられます。

ROA(総資産利益率)、ROE(株主資本利益率)の推移

ROAとは?

総資産利益率。企業が効率的に資産を使用しているかを示す。


ROEとは?

自己資本利益率(株主資本利益率)。企業が内部留保を有効に使っているかを示す。

ROAは必ずしも高い方が良いとは限りません。

〈コカ・コーラは430億ドルの資産にたいして総資産利益率が12%、(中略)〈ムーディーズ〉は17億ドルの資産にたいして総資産利益率が43%である。(中略)たとえば〈コカ・コーラ〉に対抗すべく430億ドルを集めるのは不可能だが、〈ムーディーズ〉に対抗すべく17億ドル集めるのは、可能な範疇に入ってくる。(中略)〈ムーディーズ〉の根源的経済性は〈コカ・コーラ〉よりもはるかに脆弱と言える。なぜなら、業界への参入コストが著しく低いからだ。

「バフェットの財務諸表を読む力」より

2021年のP&Gの総資産は過去10年の中で最も低かったですが、それでも1193億ドルもあります。業界への参入コストの壁が高いので、ROAは低いですが、あまり問題ないと考えます。

同業他社平均のROEはP&Gより高いです。企業によっては純資産、つまり分母となる数値が低いのでROEがかなり高くなっております。この項目ではP&Gの優位性は感じられませんでした。

自己株式調整済み負債比率と内部留保


自己株式調整済み負債比率が0.8以下の企業は永続的競争優位性を持つ可能性があると言われています。
P&Gは上昇傾向ですが、10年で0.8を下回り続けているので、基準を満たしていると言えます。

企業の経営が黒字なら内部留保が積み増しされますが、赤字だと切り崩していくことになります。内部留保は企業経営の健全性を見極めるうえで非常に重要な指標です。P&Gは右肩上がりで増加しているので、健全な経営が続いていますね。

長期借入金と短期借入金の推移

短期借入金が長期借入金を上回っているとリスクがあります。P&Gは上回っていないので大丈夫ですね。

キャッシュフロー計算書

最後にキャッシュフロー計算書の項目を確認していきます。

純利益に占める資本的支出の割合と自社株買いの推移

資本的支出は2019年のメルク買収により一時的に跳ね上がっていますが、軒並み低推移です。これは莫大な資本的支出をせずとも健全な経営ができていることを示しています。

自社株買いも毎年行われていますね。四季報に載っている同業他社で10年連続自社株買いを行っている企業はありませんでしたので、非常に優秀ですね。

P&Gの財務諸表分析まとめ

永続的競争優位性チェックリストP&G
【損益計算書】 
粗利率が40%以上である
粗利に占める販管費の割合が一貫しており、かつ低い。
粗利に占める研究開発費が少ないor0
粗利に占める減価償却の割合が低い
営業利益に占める支払利息の割合が15%以下
純利益ー(特益+特損)が右肩上がりか
純利益が右肩上がりか
売上高に占める純利益の割合が20%以上×
1株当たり利益の長期的推移(継続して増加しているか)
【貸借対照表】
現金保有の多さ
棚卸資産と純利益がともに増加する傾向
売上高に占める売掛金の割合が同業他社よりも低い
のれん代が増加している×
無形資産が増加している×
あまりに高い総資産利益率(ROA)は競争優位性の脆弱さを表している場合がある×
長期借り入れをすることがほとんどない。もしくは0
短期借入金が長期借入金を上回っていない
自己株式調整済み負債比率が0.8以下
(自社株式を加えた値を元に負債合計/純資産合計)
優先株を発行しない
内部留保(利益剰余金)の長期的かつ着実な増加
株主資本利益率(ROE)が平均よりも高い
【キャッシュフロー計算書】
資本的支出が低くなる(純利益50%以下、25%以下)
自社株買い

財務三表を分析した結果がこちらの表となります。

主に広告費に莫大なコストがかかっていますが、P&Gの商品は生活に根差したものであり、人々に愛されています。純利益もきれいな右肩上がりを描いているわけではないものの、10年以上自社株買いをし、内部留保も増加し続けているので健全な経営状態であると言えます。よって僕はP&Gの株を購入します。